aiueoworld’s 小説

藍 宇江魚の小説 エッセイ集

比較論:原チャリ ・自転車・電動キックボート

  原付オートバイ(原チャリ)、自転車と並んで、電動キックボードが生活の足となるのか?

 ちょっと、考えてみました。

 レガシーな生活の足として定着している原チャリと自転車ですが、利用における両者の違いは運転免許の要否でしょうか。

 この違いのおかげでヘルメットの着用が義務か否かが決まり、利用における面倒臭さの度合いが若干変わってくる気がします。

 今ではそれが当たり前となっているのかも知れませんが、気軽な乗り物かどうかとなれば原チャリに比べて自転車に分があると言えます。

 スピード面で言えば、原チャリは自転車に比べて早い。

 早く、疲れずに長い距離を移動できる点では原チャリに軍配が上がりますが、原チャリが入れないような狭い道をはじめとして自転車の乗り入れ可能範囲はかなり広い。

 よって行動の自由さという点では、自転車の方が勝っているといえるでしょう。

 つまり、『速さ』と『楽』なら原チャリ、『自由さ』なら自転車が選択されやすいという感じになります。

 初期コストの面で見ると、原チャリは本体とヘルメットの購入費が必要となり、自転車の場合だと本体の購入費用で済みます。本体の値段も、平均的な機種であれば原チャリの方が自転車よりも高めという感じでしょう。

 ランニングコストで見ると、原チャリは『ガソリン・オイル代』『保険料』『税金』『駐車場代』等が必要で、自転車は『保険料』と『駐輪場代』ぐらいですか。両者を比べると、自転車の方がコストは掛からないとなります。

 荷物などの積載能力での両者の違いにほとんど差はないと思われますが、原チャリの方が若干重い物を運べる。原チャリはエンジンで動いてますから、体力勝負の自転車と比べれば前者に分があります。

 日常生活で棲み分けの成立しているかに見える両者の牙城に、電動キックボードが参入できるのか?

 今回は、独断と偏見に満ちた私の考察となります。

 自分なりの結論ですが、多分今のままだと牙城に割込むことは難しいけど、ある機能が優れるとブレイクするかもしれないと感じています。

 ある機能とは、何か?

 それは、『折りたたみ』機能です。

 折りたたみ機能が著しく進化して持ち運びが簡便となった時、電車移動や飛行機との組み合わせによって生活における移動シーンが変わると感じます。

 具体的には、出先における移動手段の選択肢が増えることになります。

 例えば、原チャリや自転車、マイカーを移動手段として使う場合、必ず停める場所を意識して行動する必要があります。

 一見すると当り前のことなんですが、実は移動の自由が『停める場所』という『不動産』によって縛られていることを意味します。

 同時に、不動産の制約があるが故に、移動利用の中断をせざる負えなくなる。

 これは、『停める場所』に移動手段を置いた瞬間から、その移動手段を放棄せざるを得なくなります。

 駅前の駐輪場に原チャリや自転車を置くや、徒歩で駅まで行き、そこから先は電車の利用。

 目的地の駅で降りた以降の移動手段は『徒歩』『タクシー』『バス』等に限られる。

 ここで初めて登場する『タクシー』と『バス』ですが、どちらも大抵の場合において駅前にあって『不動産』に付随する移動手段を選択することになります。

 『徒歩』なる自力手段を選択しないと、やはりここでも『不動産』に付随した移動手段を選択する事となります。

 何とも移動における『選択の自由の束縛』を甘受することになるわけです。

 今までは、そんなことは当たり前の常識でした。

 本当は、何となく『不便』と感じていても他に選択肢が無かったから諦めていた。

 それが本音じゃないでしようか?

 じゃあ、何故これまでそうして不便を甘受せざるを得なかったか?

 単純に電車や飛行機といった利用手段を用いると『原チャリ』『自転車』『バス』『タクシー』『マイカー』等の移動手段を、そこに持ち込む事ができなかったから到着地点での選択肢は限定を余儀なくされるわけです。

 強いて言うなら『自転車』は折りたたみ可能な物もあり持ち込み可能です。

 でも、日本で電車内に折りたたみ自転車を持ち込んで移動するシーンをどれだけ目撃したことがありますか。個人的には、これまでの人生で数回だけでした。娯楽の一環でマイカーに積み込んで持ち運びすることはあっても、通勤などの日常生活でそれをする人は少ない。ヨーロッパの鉄道だと自転車ごと乗り込めるなんて車両もありますが、日本では少ないと言えます。

 よって現状では、駅から先のラストマイルにおける移動の自力選択肢は『徒歩』しかなく、それが嫌なら『不動産』付随の選択肢を選ばざるを得なかったわけです。

 別段、それが悪いと言っている訳ではありません。何にしても『時間』をお金で買う手段が『タクシー』か『バス』かというだけのことで、買うからには楽しめば良いのです。それによって、安全で快適に目的地へ着くことはできる。

 でも、そこから先は?

 『タクシー』や『バス』の都合に合わせなくてはなりません。

 でも、それが重なれば、面倒くさくなり、苛立つ時だってある。

 レンターか。

 シェアカーか。

 どれも結局、時間と快適をお金で買うが故に『不動産』の制約に縛られ続けるという訳です。

 それを楽しみと転化するのか、苦痛と感じるのかは本人次第なんですけどね。

 そんな状況下に電動キックボードが入り込んできました。

 現状、大半の人たちはエンジン付きのスケボーの類いと感じていると思います。だから普及しないで消えていくも思ってるだろうし、皆さんの予想通りの展開で終わるかもしれません。

 でも持ち運び可能な移動手段として捉えると、違う可能性が見えてくる。

 それは『移動の自由の享受』の様にも感じます。

  実は、この『自由』が世の中を変えたりします。

 例えば、好きな音楽を場所と時間を選ばずにいつでも聞きたいという『視聴の自由』がウォークマンを産み出しました。

 そして、その『視聴の自由』が40年後に『You Tube』へと進化して現在に至っています。

 元々軍事用途で構築されたインターネット。

 そこに瞬時に情報を知りたいという知的欲求が注ぎ込まれ『情報を得る自由』が膨らんでいった結果、現在のネット社会へと進化していった。

 欲望と自由が、社会や生活を変える原動力なんですよね。

 だから、電動キックボードが『移動の自由』の魁となった瞬間、それまでとは違う行動様式や生活スタイルが生まれる予感がします。道具としてブレイクする対象が現在の電動キックボードとは限りませんが、そこに『移動の自由』への希求がある限り変革が起きる予感がします。

 

 かく言う私ですが、実は買ってません。

 値段がもう少し下がってからと思いますが、実現して欲しい機能があれば検討しようかなと思っています。

 あったら良いなと思う機能は三つです。

 

 1つ目は、折りたたみ軽量化ですね。

 持ち運べる移動手段となるなら必須です。

 軽量化が進めば宅配との組合せで使うのも悪くない。

 飛行機を利用した旅行の場合、出発空港で荷物と一緒に預け、到着空港で受け取って直ぐに使うなんてことも可能で便利かもしれません。

 

 2つ目は、ヘルメットの据え付け機能。

 ヘルメットって場所取るし、使わない時はお邪魔虫なんですよね。

 電動キックボードを部屋に持ち込んで充電している時にヘルメットが別の場所にあるとウザいじゃないですか。

 

 3つ目は、EVキックボードの『キャリアー化』です。

 踏み台に旅行ケースとか置いて、ハンドル支柱の折りたたみ機能を使って荷物を固定して運べるようにできないかと。

 それがあると電車に乗る時に自動改札とか抜け、車内に持ち運びの面で何かと楽になると思います。

 

 是非、機能実現して欲しいなぁと願っております。