aiueoworld’s 小説

藍 宇江魚の小説 エッセイ集

2021-06-15から1日間の記事一覧

傘男

あれは、澄み切った夜空にぽっかりと浮かぶ十三夜の十時過ぎ頃のことだった。 駅ビルの建て替え工事のために設置された鋼鉄製の白い工事フェンスの前で、透明のビニール傘をさし、往来の人々に背を向けて佇む三人の男たちがいた。 静かに凛と輝く月。 曹昂に…